AO入試を実施する大学が増えている背景
AO入試とは、「アドミッションズ・オフィス入試」のことで、多くの大学では総合型選抜とも呼んでいます。AO入試は以前からある選抜方式ですが、近年ではAO入試を実施する大学が増えています。
当初は私立大学での導入が目立ちましたが、現在では国公立大学でも実施する大学が登場しているのがひとつの特徴です。元からAO入試に積極的だった私立大学は平成12年と令和2年を比較すると実施する大学が10倍程度増加(文部科学省のデータより)しており、特に私学での導入が目立ちます。
私立大学を中心にAO入試の実施が増えているのは、「多様な能力や可能性を持つ学生を集めるため」とされていますが、本当の理由はそれだけではないでしょう。少子化の進行を受けて、推薦入学と同様に早期に学生を確保する目的や、AO入試によって入学した学生が独自の能力を開花させて大学の知名度向上に貢献する可能性があることなどへの期待があると思われます。
こうした構造的な事情を踏まえると、今後もAO入試の存在感は高まっていくことでしょう。特に私立大学にとっては、営業戦略上もAO入試の重要性は増していくと考えられます。
AO入試では受験生だけでなく合格者も多様化する

AO入試は、一般入試と違った方法で受験生を選抜します。そのため、いわゆる偏差値で測る学力を満たしていない受験生であってもその人特有の能力が評価されれば合格できる可能性があります。
大学が目指す「多様な学生を集める」ことに成功できるかもしれませんが、AO入試で合格した学生はその後、一般入試で合格した学生と同じ教育を受けることになります。
そこで問題になるのが、学力差です。AO入試では一般入試とは全く異なる選考基準になることが多いため、一芸に秀でている人や特定の科目については群を抜いた能力があるような人が入学してきます。これは大学側も期待していることではあるのですが、やはり一般入試に合格して入学してくる学生が大半なので、AO入試で入学してきた学生の中には大学の授業についていけないといったことも起こり得ます。
AO入試で入学した学生にとって、志望校に入学したのに満足のいく勉強や研究ができなければ満足度は高くなりません。学生の満足度が高くなければ中退してしまう恐れがあるでしょうし、そこから悪い評判につながる恐れも否定できません。
そこで、AO入試を実施している大学の中には、AO入試の合格者に向けて入学前の時間を使って基礎的な学習をする「プレ授業」を実施するところが出てきました。AO入試や推薦入試は合格の時期が早く、おおむね9月やから12月頃です。私立大学の多くは年内に選考を終えるパターンでAO入試を実施しています。合格する時期が早いことを利用して、翌年4月の入学までにプレ授業を行うことで基礎的な学力をつけてもらい、入学後に備えるというわけです。
期間限定で手軽かつ低コストでプレ教育を実施したい
AO入試の合格者に対するプレ授業で、Phollyを導入された大学さまの事例です。この大学さまによると、Phollyを選んだ理由は以下のとおりでした。
①プレ授業をオンラインで実施したい
②プレ授業の実施期間は限られているのでスポット的に利用したい
③オンライン授業であっても手厚くケアをしたい
こうしたニーズからPhollyをお選びになったこの大学さまには、多くのメリットがもたらされました。
Phollyを導入して手厚いオンラインプレ授業が実現
Phollyを利用してプレ授業を実施したこの大学さまで見られたメリットや結果について、以下のことをお聞きできました。
①プレ授業のオンライン化を低コストで実現できた
大学には全国から受験生が集まるため、AO入試の合格者の中には遠隔地の人も多くいました。そこでこの大学さまは遠隔地の人も含めてプレ授業を通信教育の形で実施し、郵送でやり取りをしていました。大学から教材を郵送し、それを使って学習をした結果を返送してもらうといった形です。
しかしこれだと郵送のコストがかかりますし、大学側の業務量も多くなるため、煩雑でミスが発生しやすい問題がありました。
これをPhollyで実施することにより、コストの問題と業務量の問題が一気に解決。eラーニングなどの形で実施できないかと模索をされていたそうですが、どうせやるなら合格者とのやり取りをすべてオンライン化したいということで最適なツールを探していたところ、Phollyに行き当たったとのことでした。
②AO入試の合格が決まる11月から翌年3月までスポット的に利用できた
プレ授業は通年で行われるものではなく、毎年11月から翌年3月までです。そのためフルスクラッチ(ゼロからシステムを開発する)をするとコストパフォーマンスが悪いということでクラウドツールを軸にツール探しをしていたとのことですが、スポット的に利用できるものが少なかったそうです。
Phollyは最短1か月から利用可能で、しかも低コストです。プレ授業は正規のカリキュラムではないだけに多くの予算を割けない中で、必要な時だけ安く利用できることは大きな決め手になったとのことです。
③オンラインであってもきめ細かいケアが実現
この大学さまでは、オンライン授業だと、どうしても教員と学生の関係性が希薄なるのではないか?それゆえに学習意欲を高めにくいのではないか?との懸念がありました。
そこで、学生にはできるだけきめ細かい対応をしてプレ授業を実りあるものにしたいということで、Phollyのチャット機能やアンケート機能、テスト機能などに注目されました。これなら入学まで学生と一度も対面をしなくても、まるで対面授業のようにきめ細かい対応が可能になり、高い学習効果が得られました。
学生の獲得、つなぎ止めのためのツールとしても有効
Phollyによってプレ授業の充実を実現できたことにより、大学さまにはもうひとつの効果が見られました。それは、つなぎ止めです。

この大学さまの場合、AO入試の合格者は11月に決まります。11月から翌年の4月までは半年近くあるため、その期間に他の大学へ出願、受験をすることもできてしまいます。その結果、他の大学に乗り換えられてしまうといったことも起きるため、大学さまではいかに入学までの期間に合格者とコミュニケーションを維持するかが課題でした。
Phollyによるプレ授業では双方向のコミュニケーションが成立し、入学前に一定の学習成果や成功体験が得られます。それによって合格者のつなぎ止めや、そのやり取りを通じて合格者の保護者に対しても「安心して入学させられる」との評価につながり、とても高い効果を実感できたとのことでした。